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薬の副作用 肝機能障害、アナフィキラシーが多くなる理由
あなたの健康を守るはずの「薬」が、かえって命を脅かすケースがある。銀座薬局の薬剤師・長澤育弘氏が警鐘を鳴らす。
【一覧】中枢神経系用剤や漢方などの副作用「広く使われている薬のなかにも、『命にかかわる副作用』が出ることはあるのです」
医薬品の副作用は、薬が病院や薬局に納品される際についてくる医薬品添付文書に記載される。しかし、発売後の薬を服用した患者に副作用が出た場合、その薬を製造した製薬会社や医師などが厚労省に報告しなければならないと法律で定められている。その情報は所管のPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が精査して、必要に応じて国が添付文書の改訂を製薬会社に指示する。一連の副作用が疑われる症例に関する情報はPMDAのホームページに公開されている。
こうしたデータを通じて、すべての薬を俯瞰して副作用が疑われる症例を眺めると(表参照)、「肝機能障害」の多さに気づく。
「肝機能障害のほとんどは薬物性肝障害だと思われます。そもそも体内に入った薬は肝臓などでその有効成分が分解されて徐々に薬効を失いますが、肝機能が弱っている人はその際に肝臓が処理しきれず急性肝炎を発症することが多い。すると高熱が生じて動けなくなり、救急搬送されるケースがあります」(長澤氏)
肝臓の疾患で怖いのは、肝細胞の壊死などが急激に進む「劇症肝炎」だ。
「発熱や食欲不振が起きて皮膚が黄色く変色します。1度発症すると7~8割が命を落とすとされる病気です」(長澤氏)
PMDAのデータベースでは降圧剤の「オルメサルタンOD」、血管拡張剤の「アムロジピンOD」「コニール」を服用した高血圧患者が劇症肝炎を発症していた。
「アナフィラキシー」「ショック」という症例も多くの薬で散見された。
「薬を“異物”とみなして身体が拒否反応を起こしてしまう、アレルギー反応の一種です。老若男女問わずどんな飲み薬でも起こる可能性があり、中には命に関わるケースもあります」(長澤氏)
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