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異常免疫細胞 化合物で変換…京大など発見新薬開発に期待
体内の臓器などを誤って攻撃する異常な免疫細胞を、免疫反応にブレーキをかける正反対の免疫細胞に変える化合物を発見したと、京都大やアステラス製薬(東京都)のチームが発表した。免疫異常で起きる関節リウマチなどの新薬開発につながる可能性がある。論文が国際科学誌サイエンス・イムノロジー電子版に掲載された。
免疫は、ウイルスや細菌などの異物を攻撃し、体を守る仕組みだ。しかし、体を攻撃する異常な免疫細胞が作られることがあり、重い皮膚炎や1型糖尿病、関節リウマチなどの自己免疫疾患の原因にもなる。一方、免疫細胞の中には、異常な免疫反応を抑える「制御性T細胞(Tレグ)」もある。
Tレグ発見者として知られる京大客員教授の坂口志文・大阪大特任教授らは、アステラス製薬が持つ約5000種類の化合物を調べ、異常な免疫細胞をTレグに変化させる化合物を見つけ出した。皮膚炎や1型糖尿病のマウスに1日1回ずつ約2週間飲ませたところ、何もしなかったマウスより症状が抑えられた。目立った副作用もみられなかったという。
この化合物には、Tレグで働く遺伝子を活性化させる作用があるため、異常な免疫細胞の一部がTレグに変わったとみられ、坂口さんは「今後は変換効率を高め、副作用が強い免疫抑制剤に代わる薬を開発したい」と話す。
吉村昭彦・慶応大教授(免疫学)の話「体内でTレグを増やす画期的な方法だ。薬として応用するには、化合物の副作用をより慎重に調べる必要がある」