介護・医療関連ニュース

【医師に聞く】血便や便秘が続くのは大腸がんのサインってウソ?ホント?

国立がん研究センターの調べ(2013年)によると、新たに大腸がんが見つかる患者数は、年間13万人以上にのぼるという。そんな怖い病気のサインともいえるのが、“普段とは違った”便の状態。「血便」「便秘」「下痢」は、大腸がんと関係があるのだろうか。詳しい話を、厚木胃腸科医院の院長、寒河江三太郎医師に伺った。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

【医師に聞く】血便や便秘が続くのは大腸がんのサインってウソ?ホント?

寒河江三太郎先生(厚木胃腸科医院 院長)

【この記事の監修医師】
寒河江三太郎先生(厚木胃腸科医院 院長)
北里大学医学部卒業後、国際親善総合病院での研修を経て慶應義塾大学一般・消化器外科教室に入室。その後、稲城市立病院、平塚市民病院、慶應義塾大学病院で消化器疾患を中心に幅広くキャリアを積み、2015年に父が院長を務める「厚木胃腸科医院」を継承。地域のかかりつけとして一般外来をおこないながら、「厚木から胃や腸のがん患者をゼロにしたい」という思いのもと、専門分野である内視鏡による胃がんや大腸がんの早期発見・早期治療に尽力している。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、日本医師会認定産業医、日本禁煙学会認定指導医。

【医師に聞く】血便や便秘が続くのは大腸がんのサインってウソ?ホント?

大腸がんが進行していくに従って、徐々に血の混ざった便や血そのものの排せつ、便秘や下痢、おなかの痛み、細い便などの変化が生じる

進行大腸がんの症状として便に影響が出ることも

編集部:
早速ですが、「血便」「便秘」「下痢」は、大腸がんと関係があるのですか?

寒河江先生:
それらの症状がみられたからといって、ただちに「大腸がんである」とは言い切れません。ただし、大腸がんの症状として出ることはあります。進行度でいうとステージ2以上の状態にあたりますので、同じ症状がずっと続いているのであれば、早急に大腸内視鏡検査を受けることが望ましいでしょう。

編集部:
なるほど、詳しく教えてください。

寒河江先生:
まず、大腸癌研究会がまとめた「大腸がんのステージ分類」という資料がありますので、参考にしてみてください。

[進行度:がんの状態]
ステージ0:大腸の粘膜の中にとどまる
ステージ1:大腸壁の筋肉の中にとどまる
ステージ2:大腸壁の外まで進む
ステージ3:リンパ節に転移が認められる
ステージ4:他の臓器にも転移が認められる
※大腸癌研究会「大腸がんのステージ分類」より

このうち、「ステージ0」や「ステージ1」といった初期の段階では、ほとんど症状が見られません。大腸がんが進行していくに従って、徐々に血の混ざった便や血そのものの排せつ、便秘や下痢、おなかの痛み、細い便などの変化が生じます。

編集部:
ほかの消化器官と比べ、大腸がんならではの特徴はありますか?

寒河江先生:
繰り返しになりますが、初期の大腸がんは症状が出にくいので、その進行に気付きにくいことです。「血便」「便秘」「下痢」のようなサインが見られたら、すでに初期の段階を通り越しているかもしれません。早めに専門医院で検査を受けてほしいですね。

編集部:
もし大腸がんだったら、どうしましょう……。

寒河江先生:
大腸がんは、早期に発見ができれば完治を期待できる病気です。転移の起きていない「ステージ2」までなら、手術による完治が望めます。むしろ、この段階までに治療を受けることが大切です。ですから、便の変化には気をつけてください。

編集部:
大腸がんの治療を受けて完治した人は、どれくらいいるのでしょう?

寒河江先生:
国立がん研究センターでは、がん治療を受けた患者さんの追跡調査を行っています。それによると、「ステージ0」「ステージ1」の患者さんなら99%以上、「ステージ2」でも95%以上の患者さんが、治療を受けて5年以上生存しています。このことから、がんの発見が必ずしも「怖いこと」とは言えなくなってきていると思います。早期発見を心がけ、「ステージ2」のうちに完治を目指しましょう。

次ページは:毎日のお通じから、自分の体調を知る

1/3ページ