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「精製糖質」の摂り過ぎが引き起こす睡眠問題
ランニング中の体は、エネルギーに変換されやすい糖質(甘い菓子や飲料などに含まれる糖質)に頼りがち。この手の燃料は極度の疲労を防ぐのに役立つけれど、日頃から精製・加工された糖質(精白パン、ドーナツ、クッキーなど)を摂り過ぎるのは、肥満、2型糖尿病、高コレステロールにつながることが分かっているので控えるべき。そして今回、米コロンビア大学の調べによって、精製糖質の過剰摂取は睡眠も阻害することが明らかになった。詳しく見ていこう。 【写真】エディターが「白砂糖が入っているおやつ」を1カ月間やめてみた結果 臨床栄養学誌『The American Journal of Clinical Nutrition』に掲載された論文は、4年間(1994~1998年)にわたりアメリカ版ウィメンズヘルスの観察研究に参加した女性約5万人(50~79歳)の食生活を分析したもの。 この研究に参加した女性たちはまず、日頃から摂取している糖質の種類を含むアンケートに回答した。このアンケートはグリセミック指数(GI値)をベースとしており、研究チームいわくGI値は、「食生活における糖質の質を測る基準」。例を挙げると、フルーツや野菜などの食品は、最小限の加工しかされていない複合糖質なのでGI値が低い。でも、ベーグルやドーナツといった食品は、重度に加工された糖質なのでGI値が高くなる。 3年後、研究チームは、高GI食(砂糖たっぷりの精製糖質)を食べる頻度が高ければ高いほど、被験者が不眠症になる確率が高いことを発見した。逆に、低GI食(食物繊維が豊富な複合糖質)を食べる頻度が高ければ高いほど、参加者の睡眠に問題が生じることは少なかった。 この論文の筆頭著者で、米コロンビア大学臨床精神社会医学部准教授のジェームズ・ガンウィッシュ博士によると、これは精製糖質に含まれる砂糖が血糖値を急上昇させることに関係している。 「砂糖や精製糖質を摂取すると血糖値が急上昇します。その結果インスリンが分泌されて、寝ている人を目覚めさせるホルモン(アドレナリンやコルチゾール)が分泌されるほど血糖値が低下します」とガンウィッシュ博士。「低血糖は覚醒を引き起こし、睡眠効率を著しく低下させることが分かっています」 ガンウィッシュ博士に言わせれば、高GI食が豊富な食生活は不眠症のリスク要因。それに対して、食物繊維、フルーツ、野菜が豊富な食生活は質の高い睡眠を促してくれる。 また、今回の研究は閉経後の女性のみを対象としていたけれど、精製糖質を摂取したあとに血糖値が上昇するのは誰にでもあることなので、今回の研究結果は性別を問わず若い人にも当てはまるそう。 精製・加工糖質がランニングの燃料になるのは確か。でも、ハードなインターバルトレーニングや1時間以上のランニングでは、いつものエナジージェルやエナジーガムだけを摂取した方がいい。それ以外の食事では複合糖質(全粒穀物、豆類、野菜など)にこだわって。