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歯周病がアルツハイマーの要因に 歯のケアで認知症を予防
◆[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](293)
「2025年には65歳以上の5人に1人、約730万人が認知症になる」と厚生労働省が試算しているのをご存じでしょうか。
認知症の原因となる病気はたくさんありますが、中でもアルツハイマー病は有名です。しかしアルツハイマー病と歯科の関連性についてはあまり知られてないのではないでしょうか。
「アルツハイマー病の患者さん10人中4人の脳から歯周病菌が見つかり、同年齢の認知症ではない10人の脳からは1人も見つからなかった」という衝撃的な研究結果が2013年の医学雑誌に掲載されました。他にも歯周病と脳の関連性は国内外の大学などの最新研究でわかってきています。岐阜県で開業されている認知症専門医の長谷川嘉哉先生は20万人以上の認知症患者さんを診てこられた経験から歯周病ケアの重要性を多くの人に伝えています。
長谷川先生によると、歯周病菌が出す毒素によって歯肉に炎症が起きると血液中に炎症物質「サイトカイン」が流れ込みます。このサイトカインが血液に運ばれて脳に流れ込むと「アミロイドβ」というタンパク質が脳の中で増えるのですが、これが「脳のゴミ」と呼ばれるものです。たまったゴミに圧迫されて徐々に脳細胞が死滅。どんどん記憶力が低下していきます。これがアルツハイマー型認知症の発生・悪化メカニズムだと考えられています。
そして歯周病にかかっている期間が長ければ長いほど脳にたまるゴミは増えていると考えられます。では、すでに歯周病にかかっていたら認知症予防に関して手遅れなのでしょうか。
いえ、そうではありません。歯のケアで脳のゴミを減らすメカニズムは2通りあります。一つは歯周病菌を減らすこと。もうひとつはよく噛(か)んで歯根膜を刺激し、脳の血流をよくすること。これによりアミロイドβを減らすことができるのです。歯周病や噛めない状態をそのままにしていませんか。
まずはかかりつけの歯科医院で歯のケアをし、認知症を予防しましょう。
(徳田安成 とくだ歯科クリニック 那覇市)