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紅茶に新たな機能発見 「香り」が認知向上やうつ改善 三井農林、産官学連携で研究
紅茶のインフルエンザ予防や脂質吸収抑制効果など、その機能性が注目される中で、今度は快適な眠りに紅茶の香りが有効など新たな機能が分かった。これは三井農林と鹿児島県西之表市、筑波大学の産官学の連携による研究で明らかになったもの。
三井農林では、2018年から西之表市在住の高齢者に対するQOL(Quality Of Life、生活の質)支援活動を開始。その一環として、紅茶の香りによる高齢者のQOL向上を目的とした研究を行ってきた。その内容は不眠意識がある高齢者を対象に、就寝時に紅茶の香りを嗅ぐことによって起こる心身への作用を検証した結果、高齢者の快適な眠りに紅茶の香りが有効である知見が得られた。
今回の知見については、3月2日、3日に宮城県仙台市で開かれた第20回日本健康支援学会年次学術大会および3月9日に鹿児島県西之表市で行われた自然と共生するスマートエコアイランド種子島シンポジウムで発表された。
この研究は、不眠意識がある西之表市在住の高齢者16人(平均年齢75.1±4.5歳)を対象に、紅茶の香り(紅茶香気水)を使用したグループと対象品の水を使用したグループの2群間で比較を実施。試験品(紅茶の香りまたは水)を就寝時に超音波式アロマディフューザーで寝室空間に拡散し、連続して1か月間使用してもらった。活動量計を身に着けて日中と睡眠中の活動量を計測し、認知機能やうつ状態に関する心理質問紙に回答してもらった。
その結果、ふとんの中にいる時間に対する実際の睡眠時間(睡眠効率)の有意な上昇が認められ、さらに認知機能低下が見られた高齢者は認知機能が向上し、うつ傾向の人はうつ気分の改善が認められた。