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フラワーアレンジメント 記憶力向上に効果 脳障害機能訓練 3カ月後も維持 農研機構など

農研機構と茨城県立医療大学は18日、フラワーアレンジメントが、認知機能に障害がある高次脳機能障害者の記憶力向上に効果があると発表した。向上効果は3カ月後も維持。同機構によると、効果の持続はこれまでの研究では報告がないという。生花を使うと訓練への意欲が高まり、参加率が高まることも明らかになった。生花の香りや色などが心理的にプラスの効果を与える可能性があるとみている。

 高次脳機能障害は、事故や脳卒中などで記憶や注意力、言語などの認知機能が低下している状態。全国に30万人以上いるとされる。同機構と同大学がリハビリのため、フラワーアレンジメントを利用した認知機能の訓練(SFAプログラム)を開発した。

 訓練では、丸や三角などの印を付けた吸水スポンジに、順番に従って花材を挿し、パズル感覚で繰り返しフラワーアレンジメントを作成する。標準難度の基本デザインは約10分で完成する。

 試験では、認知機能に障害のある16人を対象に、4週間で6回のプログラムを行った。期間中に視覚性記憶力のテストを4回実施。36点満点で1回目の平均点は12・7点だったが、4回目は23・3点に向上した。プログラムに参加していない人と比べると4割以上高かった。重度の記憶障害のある人の成績も向上した。3カ月後の追跡調査で成績を維持していることを確認した。

 生花を使うと訓練への意欲が高まる。木製の棒をスポンジに挿しても記憶力は向上するが、訓練への参加率が伸びなかった。

 今後は高齢の高次脳機能障害者への効果や、認知機能の低下予防についての効果も検証するという。同機構野菜花き研究部門の望月寛子上級研究員は「健常者への効果は調査していないが、フラワーアレンジメントの入門資材として子どもから高齢者まで利用できる」と説明。花き産業の活発化に貢献できると期待する。印付きのスポンジ資材は生花店やインターネットで購入できる。