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社会保障関係費、自然増6300億円まで - 来年度予算の概算要求基準を閣議了解(医療介護CBニュース)

政府は20日の臨時閣議で、来年度予算の概算要求基準を了解した。医療や介護などの社会保障関係費の高齢化に伴う“自然増”を6300億円まで認めている。ただ、政府の財政健全化に向けて伸びを5000億円程度までに抑える「目安」があり、約1300億円分をどう縮減するかが課題になる。【佐藤貴彦】

 閣議了解された基準では、社会保障関係費の伸びを抑えるため、政府の財政健全化に向けた計画の工程表に沿った制度改革に最大限取り組むと明記している。

 この工程表では、審議会などで検討して年度内に結論を得る制度改革のメニューとして、病院を外来受診した患者が支払う定額負担や、後発医薬品を使わない患者の自己負担の見直しなどを挙げている。

 また病院などの収益状況を踏まえた入院料の適切な評価や、慢性期の医療提供体制の地域差是正、薬局の評価や「通所介護などその他の給付」の適正化などに、来年春の診療・介護報酬の同時改定で対応するとしている。そのほか、医薬品の公定価格(薬価)の決め方の抜本改革に取り組む方針も掲げている。

 社会保障関係費の伸びを抑えるためには、医療や介護サービス、医薬品などの公定価格の引き下げか、患者・利用者の自己負担などの引き上げが不可欠で、予算編成過程で決まる診療・介護報酬の改定率などが注目される。

■AIや遠隔診療に特別枠
 来年度予算の概算要求基準には「特別枠」があり、政府が先月決定した「未来投資戦略2017」(投資戦略)などを踏まえた事業がその対象となる。

 投資戦略の中では、▽遠隔診療を使った生活習慣病の重症化予防を診療報酬で評価▽医師の画像診断などをAI(人工知能)で支援する新技術の開発・実用化を後押し▽医療や介護のビッグデータを連結して、研究者などが分析できるようにする「保健医療データプラットフォーム」の設計に着手―といった方針を政府が示しており、そうした取り組みのための予算が優先的に配分される可能性がある。