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平均寿命:県別格差拡大 90年2.5歳→3.1歳に 生活習慣以外に要因か 東大調査

日本の平均寿命は過去25年間に4・2歳延びたが、都道府県間の健康状態の格差は拡大したとの研究結果を、東京大の渋谷健司教授(国際保健政策学)らのチームが英医学誌ランセットに発表した。平均寿命は、最長と最短の県の差が3・1歳に広がった。格差の原因は不明だが、医療体制や食事などの生活習慣以外に理由があると考えられるという。今後、自治体の健康関連予算や住民の意識との関係を調べる必要があるとしている。

 チームは、国などが公表した死亡や病気に関する1990年と2015年のデータを解析。全国の平均寿命は、25年間で79・0歳から83・2歳に延びた。ただ、90年に最長の長野と最短の青森の差は2・5歳だったが、15年には最長の滋賀と最短の青森の差が3・1歳に広がった。

 健康上の問題がなく生活できる健康寿命も70・4歳から73・9歳に延びた。90年に最長の長野と最短の高知にあった2・3歳の差は、15年に最長の滋賀と最短の青森の間で2・7歳に広がった。

 医療の進歩を見るため、年齢構成の違いを取り除いた病気などの死亡率を算出すると、全国で29%減少。心臓病やがんの死亡率が下がったためだが、05年以降は減少のペースが鈍くなっていた。

 死亡率の減少は近畿や九州で目立ったが、東北や沖縄は小幅で、減少幅が最大の滋賀(32・4%)と最小の沖縄(22・0%)で約10ポイントの差がついた。

 健康格差ができる原因も分析したが、医療費や医師、看護師の数とは関連がなかった。塩分摂取や喫煙などの生活習慣も、今回の解析では格差との関連は見つからなかった。