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小さな探知機、大きな安心 認知症の高齢者ら見守る- 朝日新聞デジタル
ヒトココは親機が子機の電波をキャッチし、離れた場所にある子機を探し出す。親機の液晶画面には、子機との距離や子機がある方角が表示される。子機に近づくほど大きくなる電波強度も示される。認知症の患者や子どもに子機を持たせておけば、行方が分からなくなった時に親機を使って探索ができる。
GPSが機能しにくい地下街や建物の中でも位置を絞り込める。市街地では最大数百メートル、見通しのよい場所では約1キロ程度離れても探知できる。子機の大きさは6・3センチ×4センチ、重さは約20グラムと手のひらに収まるサイズ。充電式電池が1~3カ月と長持ちするのも特徴だ。
開発したオーセンティックジャパン(福岡市)の久我一総(かずふさ)社長(38)は「姿が見えなくなってもすぐに見つけることができるので、認知症患者や幼い子どもがいる家族の不安やストレスを軽減できる」。
開発のきっかけは、自身の経験にある。家電メーカーに勤めていたころ、祖母(88)が認知症になった。徘徊(はいかい)が続き、家族だけでは見守りきれない。そこで考えついたのがヒトココだった。退職後にベンチャー企業を立ち上げると、軽量化やバッテリーの改良を重ね、2014年1月に発売。抵抗なく身に着けてもらえるよう、「御守(おまもり)」と書いた専用袋も用意した。
福岡市や長崎県松浦市、鹿児島県霧島市など各地の自治体や介護施設で導入され、昨夏からは介護保険が適用されて、月額数百円程度でレンタルできるようになった。
山岳救助の現場でも導入が進んでいる。約5万5千人が加入する日本山岳協会山岳共済会では、昨年4月から会員を対象に親機と子機のリースを始めた。
日本山岳サーチ・アンド・レスキュー研究機構副理事長の渡辺輝男さんは「登山者は少しでも荷物を軽くしたいので、負担にならない大きさは重要。ヒトココが普及すれば、救助の大きな手がかりになる」と話す。