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「寝酒」のデメリット、知っていますか?(ダイヤモンド・オンライン)

「7時間睡眠がいちばん良い」「短眠は寿命を縮める」……。こうした常識、はたして本当なのだろうか? 20年以上睡眠専門医として活躍中の坪田聡氏は、「睡眠のよしあしは『時間』だけでは測れない」「睡眠は『時間』と『質』のかけ算で決まり、質を高めれば5時間でも健康的な毎日を過ごせる」と言う。
しかし、短時間の睡眠では、日中にだるさが残る我々にとっては信じられない話だ。どう「質」を上げればよいというのだろうか。
そこで、最新刊『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』が話題沸騰の坪田氏に、その具体策を教えてもらう。今回は、睡眠における「お酒」のデメリットについて教えてもらった。

● 世界の一流企業が、こぞって仮眠を取り入れる理由とは? 

 私の患者さんで、「眠れないときにお酒に頼ってしまう」人がいた。お酒を飲んだ日はすぐに眠れるのに、飲まないと朝方まで眠れないのだという。

 毎日寝酒をするのは体に悪いとわかっているから、週に1日は休肝日をつくろうとする。しかし休肝日は、ふとんに入っても眠くならず、目が冴えてしまってなかなか眠れない。
 だから結局、毎日、寝酒に頼ってしまう。ここまで重症ではないにしても、「お酒を飲んだ日は寝つきがよい」と感じている人は多い。

 アルコールに入眠効果があるのは間違いない。しかし一方で、アルコールには睡眠の質を落とすデメリットもある。

 アルコールが体内で分解されると、アセトアルデヒドという物質ができる。
 このアセトアルデヒドは、睡眠の邪魔をして、眠りを浅くする作用がある。お酒を飲んだ次の日の朝、いつまでも眠かったり、昨日の疲れがとれていない感じがするのはこのためである。しっかりと眠りに入っているように見えて、実際にはその眠りは浅いのだ。

● お酒が睡眠にもたらす、もう一つのデメリット

 また、お酒を飲むと夜中にトイレに起きてしまう人も多いだろう。これは、睡眠中にバソプレッシンという抗利尿ホルモンが働かないからだ。私たちは、このホルモンのおかげで、睡眠中にトイレに行かなくてもすんでいる。
 しかしアルコールには、このバソプレッシンの分泌を抑えてしまう作用がある。そのため、夜中にトイレに行かざるを得なくなり、睡眠が妨げられてしまう。

 アセトアルデヒドの生成と、バソプレッシンの抑制。この両面から、アルコールは人間の睡眠を妨げる作用があるのだ。
 お酒好きの人は、就寝3時間前までには飲み終えるようにしたい。0時に就寝するとしたら、21時がタイムリミット。付き合いもあってなかなか難しいかもしれないが、3時間の猶予があれば、睡眠への悪影響をかなり小さくできる。

 そのほかにも、良質な睡眠をとるために、睡眠前にやってはいけないこと、そしてやるべきことはいくつかある。より良い睡眠をとりたい人は、拙著『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』を参考にしてほしい。

坪田 聡