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アスピリン、認知症を予防か 熊本大などが糖尿病女性で検証
国立循環器病研究センター(大阪府)理事長の小川久雄・熊本大名誉教授、熊本大保健センターの副島弘文准教授(循環器内科)らの研究グループが、2型糖尿病の女性患者の認知症を、少量のアスピリンが予防する可能性を示す研究結果をまとめた。
アスピリンは鎮痛剤として使われるほか、血液をさらさらにして心筋梗塞や脳卒中の再発を防ぐ効果があることが知られている。
チームは2002~17年、県内54病院を含む全国163医療機関の2型糖尿病患者約2500人を対象に、少量のアスピリンを定期的に「飲む」「飲まない」グループの認知症との関連を調べた。
認知症発症者128人中、女性は69人。このうちアスピリンを飲まなかったのは43人。飲んでいても発症したのは26人と、飲まない場合より4割少なかった。男性では統計的な差がなかった。
調査は当初、糖尿病患者の心筋梗塞などの疾患について、アスピリンの予防効果を確かめるために実施。脳内の血流が悪くなると認知症を発症しやすいと考えられていたことから、同じ患者グループのデータをあらためて評価した。10年超の追跡調査で、認知症予防につながる可能性を示す成果は初めて。副島准教授は「詳しい分析はこれからだが、女性で予防効果が見られたのは、体重が軽く薬の作用が強く現れたか、男女の遺伝子に理由がある可能性がある」という。論文は昨年末、米医学誌に掲載された。(林田賢一郎)