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iPS細胞の一部で異常 京大提供、研究機関で培養
京都大が提供している再生医療用の人工多能性幹細胞(iPS細胞)に対し、研究機関が目的の細胞に変化させる操作を加えたところ、一部でがん化に関わる遺伝子異常などが生じていたことが、13日までに分かった。異常が起きた細胞は移植には使われていない。
細胞を培養したり変化させたりすると遺伝子に異常が生じる場合があることはこれまでも知られていた。患者に移植する際には細胞の遺伝子などを検査するよう定められており、専門家は大きな危険性はないとみる。
京大のiPS細胞研究所は健康な人からiPS細胞を作って備蓄し、2015年から研究機関や企業に提供している。京大によると、これまでに提供した27種類のiPS細胞のうち、少なくとも2種類から作った細胞の一部でがんに関連する遺伝子異常などが確認された。
京大は提供前にiPS細胞の全遺伝情報(ゲノム)を解析して異常がないと確認しており、異常は研究機関での操作過程で生じたとみられる。京大は「異常が起きる頻度は高くない」と説明し、情報の公開を検討している。
再生医療に詳しい八代嘉美・神奈川県立保健福祉大教授(幹細胞生物学)は「移植前に検査するので大きなリスクはないだろう。異常が起きる頻度やどういう操作をした際に異常が起きたかなどの情報を、京大や各研究者が開示し対応を考える必要がある」と話した。