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佐賀大でがんゲノム医療 遺伝子異常検査受け治験
佐賀大学医学部附属病院は、がん患者の遺伝子異常を調べる「がんゲノム検査」の結果に基づく治験を実施している。特定のがん遺伝子が増えている患者を対象に、2種類の薬を併用する治療を行う。
有効性や安全性が確認できれば、がん患者に新たな治療を提供する可能性が広がり、希少がんの治療に公的医療保険の適用が拡大されることも期待される。
「がんゲノム医療」は患者のがん組織や血液などを解析して原因となる遺伝子の変異を調べ、適した薬や治療法を選ぶ最先端医療。日本で普及が進み、今年6月からはがんゲノム検査が保険適用になった。同病院は厚生労働省の「がんゲノム医療連携病院」に指定されている。
今回の治験は、がんの部位を絞らずに特定の遺伝子異常が認められるがんとしてまとめて行われ、がんゲノム検査を実施して「HER2」という遺伝子の増幅があった患者が対象になる。患者にがんを狙い撃ちして攻撃する二つの分子標的薬を併用して投与し、いずれかが有効かどうかなどを確認する。
既に薬が保険適用になっていることなどを理由に胃がん、乳がん、大腸がんは含まれず、子宮がんや膀胱(ぼうこう)がんといった患者数の少ないがんを想定する。現在は薬が保険適用にならずに高額な治療費になるが、治験の患者は負担が軽減される。同病院はこれまで患者2人に行っている。
治験は日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業の支援を受けて全国8施設で実施し、九州では佐賀大医学部附属病院だけ。2021年3月までの2年間で、全体で38症例を予定する。
同病院がんセンター長の荒金尚子呼吸器内科診療教授は「がんゲノム検査を受ける患者が今後増えることが見込まれる。希少がんなどの薬も保険適用になれば患者の負担軽減につながる」と話す。