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がん:検診「組織的に」受診率向上図る 政府計画
今年度から6年間の国の次期がん対策推進基本計画に、低水準にとどまる検診の受診率を上げるため、欧州で広く実施されている「組織型検診」の導入が盛り込まれることが分かった。対象者を網羅的に名簿で管理して受診勧奨を進め、科学的根拠が十分ではない検診をしている自治体に適切な実施を促すなどして精度を向上させる。計画は6月初旬に取りまとめ、その後に閣議決定される。
17日に開かれた厚生労働省のがん対策推進協議会で門田守人会長は「この10年、医療は進んだが、がんの罹患(りかん)率は増え続けている。検診受診率を上げ、がん患者を減らすのが次期基本計画の目玉だ」と述べた。
厚労省が現在推奨しているがん検診は、乳房、大腸、肺、胃、子宮頸(けい)部の五つ。しかし「必要性を感じない」などと感じている人も多く、受診率は30~40%にとどまっている。
組織型検診は死亡率の減少が確認された科学的根拠に基づく検診法を示した上で、きめ細かな受診勧奨をするのが特徴。イギリスや北欧諸国で実施されており、国や州などが対象者を名簿で管理し、受診率や発見率も把握している。
日本では十分把握できておらず、計画案では「国は法的な位置づけを検討し、将来的に対象者数や受診者数などのデータを収集できる仕組みを構築する」と明記した。【高野聡、下桐実雅子】
がん対策推進基本計画
2007年に策定されたがん対策基本法に基づく総合的な計画で、都道府県にも策定が義務付けられている。がん患者など当事者と有識者で構成される厚生労働省の「がん対策推進協議会」で、取り組むべき施策や目標が議論され、第3期となる次期計画では「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」を対策の3本柱とした。「がんの克服」という全体のスローガンを初めて掲げる。