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3分でわかる「フレイル講座」第3部<上>「食べやすい物」に潜む落とし穴

口や喉の機能が衰え、かめない、のみ込めない、むせるなどで食べにくい「オーラルフレイル」の状態になると、食事で十分に栄養をとれず、やがて心身の衰えを招いてしまう。今回は、高齢期の生活でポイントとなる「食べる力」の維持に着目する。

 「野菜も肉も少し大きいけれど、これぐらいの方がしっかり味わえるわね」

 1月上旬、兵庫県洲本市のフレイル予防講座で、「フレイル予防弁当」を食べた60~90代の参加者は、ふだんの食事との違いに驚いていた。

 大きめに切ったカボチャやシイタケ、適度な歯応えが残るように調理した鶏肉の照り焼きなど、かみ応えのある食品が入っているのが特徴だ。

 弁当の基準を定めた県健康増進課の担当者は「高齢になると、食べられる物、食べやすい物を選びがち。それが次第に『食べる力』を奪ってしまい、フレイルの入り口になりやすい」と、かみ応えにこだわった理由を話す。

 市内に住む女性(69)が「家では水を多めにして米を炊いたり、煮込む時間を長くしたりと、つい、軟らかめに調理していることに気付いた」と話すなど、「軟らかい」に傾きがちな高齢期の食を見直すきっかけになっている。