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高齢者の寝たきりを招く骨折 予防には運動、食事、そして片付け!

高齢になると骨折しやすくなります。骨が極端にもろい場合には、寝返りを打っただけで骨折したケースもあると言われています。骨折すると回復までの間、生活に支障が出るだけでなく、そのまま寝たきりになることや、うつ病や認知症になってしまう可能性もあると言われています。実は、高齢者の骨折を防ぐには運動と食事に加え「片付け」も大事です。その理由とは――。【北里大学大学院整形外科学教授・高平尚伸/メディカルノートNEWS & JOURNAL】

◇ちょっとした段差につまずき骨折

75歳の女性、Sさんは自宅でキッチンへ飲み物を取りに行こうとした際にカーペットと床の間のわずかな段差につまずき、転んで腰を強打。我慢できないほどの強い痛みで動くことができません。幸いにも、同居している長男の妻が直後に帰宅し、すぐに救急車で病院に運ばれました。

Sさんの診断は「大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折」。太ももの骨の骨盤に近い曲がった部分が折れた状態です。Sさんのように、高齢者が歩行に制限が出る部位を骨折すると、寝たきりになるリスクもあり注意が必要です。

◇骨粗しょう症で起こる「ドミノ骨折」

高齢者、特に女性の場合は骨粗しょう症によって骨折しやすい状態になっていることがあります。病院で検査をしたところ、Sさんも骨粗しょう症であることがわかりました。

大腿骨は体の中でも太い骨で一見折れにくいように見えますが、骨粗しょう症で骨の量が減ってもろい状態になっていると転倒などの軽微な衝撃でも折れてしまうことがあります。大腿骨頸部骨折は1:4で女性、特に高齢女性に多く生じます。転倒などが直接の原因でも、その裏には骨粗しょう症が隠れていることが多いのです。

ほかに転んで手をついた際に起こる手首の骨折「橈骨(とうこつ)遠位端骨折」▽転んで肘をついた際に腕の肩に近い部分が折れる「上腕骨近位端骨折」▽尻もちをついた際に起こる「脊椎(せきつい)圧迫骨折」――を含めて高齢者に起こりやすい「4大骨折」といいます。

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