介護・医療関連ニュース
-
腸内細菌由来「D-アミノ酸」9種発見 生体内の役割解明期待
協同乳業(東京都)の研究員や島津製作所などのグループはこのほど、腸内細菌が産生したD―アミノ酸9種を新たに発見し、英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に発表した。D―アミノ酸は脳機能や疾病との関わりが指摘されており、生体内での役割の解明が期待される。
生体のタンパク質を構成する20種のアミノ酸のうち19種は、同一種の中で分子構造の一部が対称なL型(L―アミノ酸)とD型(D―アミノ酸)がある。タンパク質をつくるのはL―アミノ酸とされてきたが、分析技術の進展で近年、ほ乳類の生体内でもD―アミノ酸が見つかっている。
島津製と大阪大は、同社の質量分析計を用いて微量のD―アミノ酸を高感度に多種一斉分析する手法を開発。協同乳業の松本光晴主幹研究員はマウスの腸の内容物をこの手法で調べ、腸内細菌由来のD―アミノ酸12種を検出。そのうち9種は今回初めて確認された。
D―アミノ酸の役割は解明途上だが、脳機能や老化、白内障、アルツハイマー病などへの関連が指摘されており、腸内細菌由来のものも大腸から血液を介して吸収され、これらに関与している可能性がある。一部は発酵食品にも含まれ、島津製は診断や機能性食品の成分分析といった分野への展開も視野に入れる。松本研究員は「疾病メカニズムの解明や治療法の開発で新たなアプローチが期待できる」としている。