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<加齢性難聴>放置せず補聴器の活用を…認知症の発症、高める恐れ
年を取ると、多くの人は聴力が衰え、加齢性難聴を発症します。自覚しにくく、放っておくと認知症を発症するリスクが高まることもわかってきました。専門家は、積極的に補聴器を活用するよう呼びかけています。(矢沢寛茂)
なぜ起きる?
左右の耳の奥(内耳)には「蝸牛(かぎゅう)」と呼ばれる部位があります。カタツムリのような形で、伸ばすと約3センチの管には音を感じる細胞が並んでいます。
高い音は太くて鼓膜などに近い場所で、低い音は細い奥の方で反応し、それぞれ音の大小と一緒に電気信号に変えて脳に伝えます。音が高いほど振動が多くて細胞が傷つきやすいため、まず高い音から聞こえにくくなります。「感音難聴」ともいいます。
一方、蝸牛の細胞からの信号をさばく脳も、年齢を重ねると衰えてきます。その結果、たくさんの音から一つの音を聞き分けたり、早口についていけなくなったりします。
耳はとても繊細なので、ジェット機が離着陸する空港や大きな音が出る工場などの環境に長くいたり、高血圧や糖尿病などで血管が硬くなって耳の組織が傷んだりすることが、大きな要因と考えられます。若いうちからヘッドホンで大音量の音楽を聴くことや、喫煙、ストレスもリスクを高めるとされています。どんな症状?
耳が聞こえにくいと感じる人は、早ければ40歳代からみられますが、多くは60~70歳代で増えてきます。70歳の半数程度は難聴と考えられています。
症状は徐々に進行するので、実感しにくいのが特徴です。何度も話を聞き返すなどコミュニケーションが取りにくくなって初めて病院を受診する人が多く、食事など大人数での会話で様々な音に囲まれる中、予想しなかった話題や発言についていけなくなるのが典型例です。
近年、難聴は認知症にとって最大の危険因子と考えられています。脳への情報量や刺激が減ってその働きが弱まるだけでなく、人との接触や交流をためらいがちになるからです。1/2ページ