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日本人は太っていなくても糖尿病になる人が多い、その理由とは?(ダイヤモンド・オンライン)

『日本人のための科学的に正しい食事術』を上梓した、健康医療ジャーナリストの西沢邦浩氏が、最新エビデンスに基づき、日本人のあるべき食事を紹介する。今回のテーマは、糖尿病と食生活の関係について。日本人は体質的に、白人や黒人など他の人種に比べて糖尿病にかかるリスクが高いというデータもある。

● 高血糖が常態化すると うつのリスクが高まる可能性も

 ふかふかした白いパン、炊きたての白米、砂糖たっぷりの炭酸飲料──このような精製された炭水化物を用いた食品や飲料はおいしく、食べているときの心地よさも格別だ。

 特に意識して選ばない限り、あなたが日常口にしている主食も、白くて食べやすい炭水化物食品の割合が高くなっているのではないだろうか?

 しかし、こうした食品は消化吸収されやすいため、それだけで食べると血糖値が急上昇する。そしてこの食後高血糖状態が常態化すると肥満や老化を促し、糖尿病リスクを高める。それだけではない。高血糖がメンタルを不安定にし、うつのリスクを高めると指摘する研究もある(*1)。

*1 Br J Nutr. 2016 Dec;116(12):2109‐2114.
 2016年、大阪府健康医療部が、「大阪版健康・栄養調査結果」を発表して波紋を呼んだ。

 それは、お好み焼きと白米ご飯、ラーメンとチャーハンなど「主食を重ね食べしている大阪人には肥満が多い」という内容だった。精製された主食の重ね食べを繰り返せば、当然、血糖値は上昇するし、肥満リスクが高まるのも不思議ではない。だが「大阪人の食文化を否定するのか!?」という批判も一部の府民から湧きあがったため、それも含めてマスコミのかっこうのネタになってしまった。

 実際、大阪人に限らず、血糖値が上がりやすい食事をしている日本人は糖尿病リスクが高く、また肥満傾向にもあるというデータが出ているので、この大阪府の発表は、実は、肥満と糖尿病のリスクを高める典型的な食べ方の問題をあぶり出していたのだが(*2)。

*2 Metabolism 2012;61(1):47‐55. Am J Clin Nutr.2006 May;83(5):1161‐69.
● 日本人はインスリン分泌力が弱く 内臓脂肪がつきやすい

 先に触れたように、日本人の糖尿病患者およびその予備群を合わせると、2000万人に達していると見られるが、男女別に見ると、糖尿病が強く疑われる人の割合は、男性で16.3%、女性で9.3%になる(2016年「国民健康・栄養調査」)。男性では6人に1人の割合だ。

 しかし、男性に比べて割合が低い女性でも、白人や黒人に比べると、日本人のほうが糖尿病になるリスクが高いことがわかっている(*3)。

*3 Diabetes Care. 2006 Jul;29(7):1585‐90.
 このデータに注意したいのは、糖尿病はがんを含め多くの生活習慣病リスクを高める「万病のもと」のような病気だから。

 アジア人77万人のデータを分析したところ、糖尿病で発症リスクが上がるがんは12あった、という研究も報告されている(*4)。

*4 Diabetologia. 2017 Jun;60(6):1022‐1032.

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