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内視鏡治療後の胃がん再発リスク診断法開発-国がんなど研究グループ(医療介護CBニュース)

国立がん研究センター(国がん、中釜斉理事長)などの研究グループは、早期胃がん患者で内視鏡治療後に別の胃がんが発生するリスクを診断する方法を開発した。この診断方法は、胃がんのリスク要因とされるピロリ菌を除菌した後の健康な人の胃がんや、ほかのがんのリスク診断などに応用できる可能性がある。【君塚靖】

 新たな診断方法は、胃粘膜に蓄積したDNAメチル化異常の程度を測定することで、早期がんを内視鏡治療後に、再び別の胃がんが発生するリスクを予測するもので、国がん研究所エピゲノム解析分野のほか、国がん中央病院内視鏡科、東大、和歌山県立医大の研究グループが開発した。この研究成果は、消化器病の国際的ジャーナルである英国「Gut」誌の12月21日付オンライン版に掲載された。

 研究では、内視鏡治療後の早期胃がん患者795人について、ピロリ菌除菌後に非がん部の胃粘膜のメチル化異常の程度を測定。その後毎年、内視鏡検査による5年間の経過観察をした。その結果、早期胃がんの内視鏡治療後も一定の確率(年率2.0-2.5%)で別の胃がんが発生するが、メチル化異常の程度が最も高かったグループの人は、最も低かったグループの人に比べて、3倍胃がんになりやすいことが分かった。

■新たなリスク診断で検診受診者の負担軽減へ

 新たなリスク診断が実用化されれば、胃がん検診による発がんリスクの程度に応じて、検診の頻度を変えて検診受診者の負担を軽減したり、医療費を削減したりすることも期待される。メチル化異常は慢性炎症に起因するほかのがんの原因であるため、この診断方法は、肝炎ウイルスや脂肪肝を背景とした肝臓がん、潰瘍性大腸炎由来の大腸がんなどにも応用できると期待されている。