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糖尿病抑制に働く化合物、京都大グループなど発見 新たな予防、治療につながる可能性

糖尿病を抑制する働きを持つ化合物を見つけたと、京都大レバノン・アメリカン大などのグループが26日発表した。この化合物はヒトの腸内に生息する細菌によって生成されることが知られており、新たな糖尿病の予防法や治療法につながる可能性があるという。米科学誌セル・リポーツにこのほど掲載された。

 糖尿病の患者は国内で1千万人以上いる。関連遺伝子などの研究は進んでいるが、未解明なことは多い。
 京大医学研究科の松田文彦教授ら国際チームは、血中にある代謝物質と糖尿病の関係を調べようとレバノン人137人から得たサンプルを分析。糖尿病患者では有機化合物のクレゾールの血中濃度が低いことが分かった。
 マウスを使った実験で微量のクレゾールを皮下投与すると、高脂肪食を摂取した場合、血糖値を下げる血中のインスリン濃度が多く分泌され脂肪細胞も小さいことを確認した。糖尿病モデルのラットでもインスリン分泌で改善が見られた。
 ヒトはクレゾールを生成できず、腸内細菌が生成するか食べ物に含まれていることで、体内に吸収されるという。松田教授は「クレゾールを生成する腸内細菌群をコントロールすれば、糖尿病が抑制できるようになるかもしれない」と話す。