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骨の希少難病、治療薬候補発見 京大iPS研究所
筋肉の中に骨が生じる希少難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の治療薬候補となる化合物を見つけたと、京都大iPS細胞研究所のグループが発表した。FOPのメカニズム解明につながるという。米科学誌ステム・セル・リポーツに2日、掲載する。
FOP患者は国内に約80人で、有効な治療薬は見つかっていない。昨年、患者から作ったiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って別の治療薬候補「ラパマイシン」が見つかったと、同研究所のグループが発表。京大医学部付属病院などで効果や安全性を確かめる治験が行われている。
池谷真准教授や日野恭介研究員らは今回、ラパマイシンを見つけた時とは違う方法で、FOPに特徴的な細胞膜のタンパク質の過剰活性化をマウスの細胞で再現した。4892種の化合物で反応を調べ、うち7種で骨ができる前段階の軟骨化を抑えることが判明。その後、患者のiPS細胞の反応を見て、2種類で軟骨化を抑制することを突き止めた。
患者のiPS細胞をマウスに移植して2種の化合物を投与したところ、筋肉内に骨ができるのを抑えられた。2種の化合物は、ラパマイシンと異なる仕組みで効果を生んでいた。
池谷准教授は「すぐに治験に移れる訳ではないが、FOPのメカニズムを突き止めるのに有効な成果」と話している。