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保健指導と介護予防統合 法改正視野 健康寿命を延ばす(産経新聞)
厚生労働省が高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する方針を固めたことが17日、分かった。健康な状態から要介護に至る中間的な状態は医療保険で、介護予防は介護保険で別々に行われているが、これらを一体的に実施し、保健師らが高齢者に効率的に接触する機会を増やすことで健康寿命の延伸につなげたい考えだ。年内に具体的な方策をまとめる方針で、高齢者医療確保法や介護保険法などの関連法改正も視野に入れる。
現在、生活習慣病対策や介護が必要となる手前の活力が低下した「フレイル」と呼ばれる状態の人のうち、75歳以上の対策は医療保険の後期高齢者医療制度に基づき都道府県ごとに全市町村で構成する「後期高齢者医療広域連合」が実施主体となる。一方、介護保険で行う介護予防の主体は市町村(被保険者は65歳以上)で、枠組みが異なる。
保健事業と介護予防を一体的に行えば効率的に高齢者に接触することができる。同時に、保健事業や介護予防が必要な対象者を幅広く抽出することが可能になるメリットがある。医療費の削減につながることも期待される。
健康寿命とは健康上の問題がない状態で日常生活を送られる期間のことで、平成28年は男性72・14歳、女性74・79歳。政府は2040(平成52)年までに健康寿命を3年以上延ばす目標を掲げており、実現には保健事業と介護予防の一体的な実施が欠かせない。
厚労省は、(1)介護予防として高齢者が地域で集まって体操や会食、茶話会などを行う「通いの場」に保健師や栄養士らが定期的に訪問(2)保健指導や健康相談などを実施(3)その情報をかかりつけ医らと共有(4)かかりつけ医はその情報をもとに高齢者に受診を促す-ことなどを想定している。
ただ、通いの場に参加する高齢者は決して多くはない。厚労省によると、全国の通いの場は7万6492カ所あるが、65歳以上の参加率は4・2%の143万9910人にすぎない。このため、厚労省はひきこもりがちな高齢者や健康無関心層に対し、参加への働きかけを促したい考えだ。