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糖尿病合併症予防、かかりつけ医の活用が鍵-厚労省、日医などとプログラム策定(医療介護CBニュース)

糖尿病の合併症の1つで、症状が進んだ場合は人工透析が必要となる「糖尿病性腎症」を予防するプログラムを厚生労働省と日本医師会(日医)などが策定した。糖尿病が重症化するリスクの高い医療機関の未受診者らへの受診勧奨や保健指導に結び付ける狙いがある。プログラムを導入する自治体が、かかりつけ医と連携することや、健康診査・レセプトのデータを活用することを求めている。【新井哉】

 糖尿病性腎症は、糖尿病の主な合併症で、腎機能が悪化して腎不全になった場合、尿毒症物質の蓄積で頭痛や吐き気などが出てくることもある。腎機能の悪化に伴い、透析療法を受ける患者も少なくない。糖尿病による高血糖と高血圧が主な原因で、血糖や血圧のコントロールが基本的な治療法となっている。

 健康日本21(第2次)でも、糖尿病の発症を予防して患者の増加抑制を図る方針を示しており、糖尿病性腎症による透析導入患者を1万6247人(2010年)から1万5000人(22年)まで減らすことを目標に掲げている。こうした状況などを踏まえ、厚労省と日医、日本糖尿病対策推進会議は今年3月に糖尿病性腎症の重症化予防に関する協定を締結。この協定に基づきプログラムを策定したという。

 プログラムでは、▽健康診査・レセプトなどで抽出されたハイリスク者への受診勧奨、保健指導▽治療中の患者に対する医療と連携した保健指導▽糖尿病の治療中断者や健診未受診者への対応-などの取り組みを想定。かかりつけ医などとの連携が必要なことから、都道府県や市町村に対し、医師会などの地域の関係者と協議して連携体制を構築することを促している。

 また、「2型糖尿病」と「腎機能の低下」に該当したケースがプログラムの対象者になると説明。医療機関での抽出方法も示しており、糖尿病の治療中に尿アルブミンや尿たんぱくなどによって腎機能の低下が判明し、「保健指導が必要」と医師が判断した患者が対象になるとしている。

 かかりつけ医に対しては、対象者の糖尿病合併症などの状況を把握し、患者に説明するとともに、保健指導を行う際の留意点を保健指導の実施者に伝えることを求めている。