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はしか患者、全数報告開始以降で最少-感染研が昨年の動向分析、4割超に渡航歴(医療介護CBニュース)

麻疹(はしか)の2015年の患者報告数が、全数報告が始まった08年以降で最も少なかったことが、国立感染症研究所が公表した発生動向の調査・分析で分かった。ただ、4割超に海外渡航歴があることも判明しており、同研究所は、輸入感染症例による国内の感染拡大を防ぐため、「定期予防接種率を対象者の95%以上が完了しているようにしておくことが重要」としている。【新井哉】

【「麻疹の患者報告数の推移」詳細】

 麻疹をめぐっては、07年に学校などで集団発生が相次ぎ、08年には1万例を超える報告があった。その後は同じような規模の流行はなく、年間1000例以下で推移。15年には35例となった。麻疹による学校の休業も14年3月以降は報告がなかった。

 WHO(世界保健機関)も15年に、日本が麻疹の排除状態にあることを認定。今年(8日現在)の患者報告数は6例で、08年以降の同時期と比べて最少となっている。

 同研究所によると、15年は全国の地方衛生研究所で、報告のあった35例のうち24例から麻疹ウイルスが分離・検出され、15例で海外への渡航歴があった。渡航先は中国やインド、マレーシア、インドネシアなど。また、15年度は麻疹の感受性調査(抗体価測定)が23都道府県(6601件)で行われ、2歳以上のすべての年齢群で95%以上の抗体保有率を示した。

 麻疹に感受性のある渡航者について同研究所は、海外での流行状況に応じて渡航前に予防接種を受けることを推奨。国内の対策では、1歳になったらすぐにMRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)の初回接種を受け、小学校入学前の1年間に2回目の接種を受けることを求めている。

 小学校に対しても、入学前の書類提出時や入学後の早い段階で予防接種歴を確認するよう要望。「2年次以降については、定期健康診断に先立って行われる保健調査の機会などを活用して、2回の予防接種歴あるいは罹患歴を確認することが望ましい」としている。