介護・医療関連ニュース

外国人患者受け入れ、費用請求や言語対応は? - 厚労省が調査報告書を公表(医療介護CBニュース)

厚生労働省は、外国人患者受け入れ医療機関の認証制度に関する調査報告書を公表した。在留・訪日外国人の増加を踏まえたもので、円滑に受け入れるための取り組みなどを記載。認証を取得した医療機関の医療通訳体制や外国人患者に配慮した入院食の提供といった対応状況を明らかにしている。【新井哉】

 この認証制度は厚労省の支援事業として運営されており、外国人が安心・安全に日本の医療サービスを受けられる体制を構築する狙いがある。認証機関の日本医療教育財団が受け入れ体制や患者サービスなどの項目を審査し、評価項目をクリアした医療機関に認証書を発行している。

 今回調査対象となったのは、▽国立国際医療研究センター病院(東京都)▽恵寿総合病院(石川県)▽りんくう総合医療センター(大阪府)▽米盛病院(鹿児島県)-の4施設。医師や看護師などにインタビューを行い、円滑に受け入れるための課題やその解決方法などを取りまとめた。

 例えば、訪日外国人が救急搬送された場合、手術や入院費用について、患者や家族から資金面の裏付けを事前に得ることが難しく、対応に苦慮するケースもあると指摘。こうした事態に備え、国立国際医療研究センター病院では、来院後すぐに保険の有無を確認した上で概算額の説明を行い、患者だけでなく母国の家族や親族の協力を得て保証金を前払いするよう促している。

 言語への対応も欠かせない。恵寿総合病院では、各部署の担当者が翻訳アプリやコミュニケーションツールを使うことで、医療通訳が不在の際も最低限の対応ができる体制を整備している。

 外国人患者への食事の提供や投薬に関しては、宗教上の理由で食材や医薬品の使用が制限されるケースもある。りんくう総合医療センターでは、医療通訳らが外国人患者から聞き取りを行い、必要に応じて食事を調整。米盛病院でも、イスラム教徒らの入院に備え、カプセルに豚由来の成分を含む医薬品などのリストを作成しているという。

 報告書では、外国人患者の受け入れは各部門の連携が不可欠な業務として捉えることが重要とした上で、「会話集などのコミュニケーションツールや翻訳アプリを活用しながらも各部署で対応可能な範囲を見極め、コーディネーターや医療通訳、さらには遠隔通訳サービスとの役割分担を適切に判断していく必要がある」としている。