介護・医療関連ニュース
-
「ケアラーズカフェ」介護が必要な家族をケアする人に寄り添う
介護が必要な家族を自宅でケアする人「ケアラー」。そのケアラーに寄り添い、支える「ケアラーズカフェ」を取材しました。
安佐北区の住宅地の中に佇む「ケアラーズカフェ&キッチンはぴねす」。
オープンから3年、週3回の営業で家族を介護するケアラーの悩みを受け止め、支え続けています。
【金田アナ】
「こちら店内は、白を基調とした内装で、こうして腰かけてみますと、ずっといたくなるようなそんな落ち着いた雰囲気になっています」
認知症の当事者や家族が情報交換を行う認知症カフェとは違い、通常のカフェのようにケアラーではない一般の方も利用することができるのが大きな特徴です。
カフェを運営する代表の北川朝子さん、北川さん自身もケアラーでした。最愛の母、久子さんを5年間に渡って介護。その間に、自分と同じケアラーの悩みを受け止めるこのカフェを開店しました。母・久子さんを亡くした2年前、閉店も考えたといいます。
しかし…
【北川朝子さん】
「亡くなった後のケアといいますか、グリーフケアといいまして、悲嘆的なケアも必要じゃないかということでそれは実際に母を亡くした私にしかできないことかなと思いました」
入店見せこの日やってきたのは、実の母を介護し、月に1、2回このお店を利用するという女性。席につくと同時に、思いの丈があふれ出します。
【やりとり】
「ケアする側は本当に疲弊してしまう」
「食事からはじまってお風呂も入れないといけない、本当に大変ですよね」
「知らない人が聞いたらね、そんなのたやすいことじゃない、重労働でもなんでもないじゃない、何をそんなことが大変だっていうような言い方する方もいるけど家の者に対してはとってもわがままが出る」
北川さんはお客さんが胸に秘めた思いを無理やり聞き出すことはしません。
同じ介護の経験者として、耳を傾けます。
女性は、認知症の介護者のグループに参加して傷ついたことがあるといいます。
【利用者】
「まだあなたの親はいいじゃない、軽いほうですまだ序の口よ、いまからよとかいう感じで。序の口よって言われてもね。母は現実に私がケアしないと薬ひとつ飲むのも間違って飲みますのでね」
女性にとってこのお店は特別な存在です。
【利用者】
「(ここは)気分がリフレッシュできる、とってもいいですね。それはいままでどれだけ助けられたことか。末永く続けていただきたいなって思ってるんです」
はぴねすのメニューは野菜が中心で、身体の内側から癒されると利用者からも好評です。
この日のランチのメインは、「じゃがいもと鮭のコンソメ」。こちらでは、料理を待つ間に介護の情報交換をしていました。
【やりとり】
「すごく丈夫ですし、肌に優しいですよね」
こちらで紹介しているのは、介護経験者によって開発された介護される人のための服。
ファスナーなどを使うことで、寝たきりでも脱ぎ着しやすいように工夫されています。また、介護する側のための服も取り扱っています。ガーゼの生地を使用しているため肌触りもよく、汗もよく吸ってくれると好評です。
介護の情報交換が終わったら、ランチタイムです。
【利用者】
「なによりも食べ物ですかね、おいしい、それから(家族と)一緒に出てこられる。やっぱりここにいたら理解されてる雰囲気があるじゃないですか。堪えるのが当たり前なので。それがとても効果があると思います」
厨房では、なにやらお弁当を用意しています。実はこのお弁当、一日限定10食で店の近くのエリアに配達しているんです午後3時、北川さん、配達スタートです。この日は、お店周辺の5軒を配達してまわります。
【利用者】
「わたしちょっと足が悪くなって、お買い物に行けなくなって」
「こちらのお店によく行ってたもんですから、それがおいしかったので、お弁当はじめられて本当助かってます」
高齢者のみなさんの見守り活動も兼ねているこのお弁当の配達。地域に貢献する中、北川さんのお店への思いにも変化がありました。
【北川朝子さん】
「最初は苦しい人のなにかの支えになればと思っていたんですけど、母が亡くなったりいろんな環境が変わったことで私自身が支えられたといいますか、いろいろなボランティアの方のあたたかい言葉とかお客様の言葉に支えられて」
「かけがえのない存在になりつつあります」
ケアラーズカフェはぴねす。その店内のいたるところに散りばめられたハピネスの文字。
ケアする人もケアされる人もみんなが幸せを共有できるように北川さんは支え続けます。広島ニュースTSS