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冷蔵庫で分かる認知症のサイン。親子バトル回避の心得 もめない介護1

認知症介護には“もめごと”の種が盛りだくさん。ガチンコでぶつかり合うと消耗一直線。かといって一方的に我慢するのも、我慢させるのもつらいもの。では、どうすればお互いラクになれるのか? 介護で直面するさまざまなトラブルをもめずに解決するヒントをご紹介します。今回のテーマは冷蔵庫から分かる認知症です。

子どもにとって、親の認知症は晴天のへきれき。でも、冷静に振り返ってみると、何年も前から予兆があったというケースが少なくないと言われます。

例えば、久しぶりに実家に帰り、冷蔵庫を見たら、あふれんばかりの食材の山。しかも、どれも賞味期限が切れていて……。こんな光景に出くわしたら、黄色信号。調理が億劫になってきちんと食事がとれていない可能性もありますし、判断力の衰えや強い不安感が潜んでいるのかもしれません。

さて、ここで悩ましいのがどうやって、片付けの手伝いを切り出すか。
「冷蔵庫ひどいことになってるよ」
「賞味期限が切れてるじゃない」
「こんなにたくさん必要ないでしょ」
など、とがめるような言い方をしたら、まず間違いなくもめます。

親世代の抵抗感はなぜ?

言葉を選び、優しく伝えたとしても、素直に聞き入れてくれるとは限りません。
モノがない時代を生きてきた親世代は、捨てることに対して、子ども世代とは比べものにならないぐらい抵抗感を持っています。それが、食べ物となれば、なおさら。

子ども側はよかれと思って、片付けを申し出たのに、
「まだ食べられるのに、勝手に捨てるな」
「たまに来て、えらそうに指図するな」
と叱り飛ばされ、「おなかをこわしても知らないわよ!!!」と親子ゲンカになるケースも。

うちの義母がまさにそのパターンでした。夫婦揃ってアルツハイマー型認知症だとわかったとき、義父(当時89歳)、義母(当時86歳)のふたり暮らし。でも、冷蔵庫は食材がぎっしり。ともかく、食中毒を防ぐためにも賞味期限切れのものは処分しようという話になり、
じつの娘である、義姉にお願いしました。

赤の他人である嫁に冷蔵庫の中身を詮索されるのは、義母としても面白くないはず。じつの娘であればまだ許せるのでは……という思惑があっての義姉の登板でしたが、結果は激しい親子バトル一直線。

じつの親子のほうが遠慮なく本音をぶつけあう分、ヒートアップもしやすかったようです。

「食べ物を捨てるなんてありえない!」「あの子はモノを大事にしなさすぎる!!」と義母はカンカンに怒り、義姉も「何度説明しても理解してくれない。強情すぎる……」とグッタリ。

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