介護・医療関連ニュース
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介護現場に外国人 何が課題?
今年4月から外国人労働者の受け入れが拡大され、介護現場で外国人が働く制度は、在留資格「特定技能1号」を加えて4種類になります。
異なる対象者・在留期間
最も歴史があるのは、経済連携協定(EPA)によるインドネシア、フィリピン、ベトナムの3国からの受け入れです。2008年に始まり、これまでに4265人が来日しました。17年、二つの制度が設けられ、就労目的の在留資格「介護」では18年6月末現在で177人が働き、技能実習制度の「介護」では同10月末現在で247人が来日しています。
これに加わるのが、特定技能1号です。政府は介護業で19年度に5000人、23年度までの5年間で最大6万人の受け入れを見込んでいます。
対象者は制度で異なります。EPAは自国の看護学校を卒業した人らが対象。在留資格「介護」は留学生として介護福祉士の養成校で2年以上学び、介護福祉士資格を取得した人です。技能実習生は介護経験があり、基本的な日本語を理解できる必要があります。
一方、特定技能1号は、日常会話程度の日本語能力試験と介護分野の知識・技能に関する試験の合格者が対象です。技能実習生として3年以上の経験を積んだ人も対象になります。
在留期間も異なり、EPAは原則4年の在留期間中に3年以上の就労経験を積み、介護福祉士資格を取得すれば、永続的に就労できます。17年度までに延べ1596人が受験し、719人が合格しました。介護福祉士資格を持つ在留資格「介護」の人も永続的に働けます。
技能実習生と特定技能1号はいずれも最長5年ですが、3年以上の就労を経て、資格を取得すれば在留資格「介護」に移行できる見通しです。「介護の質」維持が課題
四つの制度で、明確に人手不足を導入の理由としたのは特定技能1号が初めてです。EPAは外国との経済連携の強化、在留資格「介護」は専門人材の受け入れ、技能実習は海外への技能移転が目的です。ただ、実際には、人手が足りない介護現場の担い手としても期待されてきました。
日本大学の塚田典子教授(少子高齢社会論)は「人手不足対策としては一定の効果はあるものの、介護の質を維持できるかどうかが重要。外国人が支え手となれるよう、十分な教育と環境整備が欠かせません」と話しています。