介護・医療関連ニュース

【医師に聞く】パソコンを仕事で使う人は要注意! 「VDT症候群」とは?

主に80年代から使われるようになってきた「VDT症候群」とは、どんな病態を指す言葉なのでしょう。当時から四半世紀以上が過ぎた現在、医療技術やオフィス環境などの変化により、同じ土俵で捉えられなくなっていそうです。あらためて詳しい解説を、「富永クリニック眼科」の富永先生にしていただきました。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

【医師に聞く】パソコンを仕事で使う人は要注意! 「VDT症候群」とは?

富永 浩一郎先生(富永クリニック眼科 院長)

【この記事の監修医師】
富永 浩一郎先生(富永クリニック眼科 院長)
杏林大学医学部卒業。杏林大学医学部眼科学教室入局。米国留学後、眼科クリニック院長などを経た2014年、東京都港区に「富永クリニック眼科」開院。目についての正しい情報を提供し、快適な毎日が送れるべく、日々の医療に努めている。日本医師会、日本眼科学会、日本眼科医会の各会員。

【医師に聞く】パソコンを仕事で使う人は要注意! 「VDT症候群」とは?

目の疲れが体の疲れに結びつくことも

人類が経験してこなかった未知の世界

編集部:
最近、スマホやパソコンを使うとぐったり疲れてしまいます。

富永先生:
もしかしたら、「VDT症候群」かもしれません。「VDT」とは「Visual Display Terminals」のことで、モニター操作による目の不具合を“総称”してVDT症候群と名付けています。かつては、疲れとディスプレイなどの関連性が明確ではなかったので、具体的な診断を付けられませんでした。しかし、いまでは、「調節性の眼精疲労」や「ドライアイ」のような個別の診断を付けることが多くなってきています。

編集部:
目の疲れが、体の疲れに結びついているということですか?

富永先生:
具体的な症状として、肩こりや腰痛、だるさ、けん怠感などが含まれます。VDT症候群が起こる原因のほとんどは、「調節性の眼精疲労」と言っていいでしょう。もちろん、ドライアイや原因不明な不定愁訴(ふていしゅうそ)などもあるので、すべての原因が「調節性の眼精疲労」とは言い切れないですけどね。

編集部:
その主な原因が、パソコンやスマホにあると?

富永先生:
1日の多くを、40cm前後の焦点距離で過ごしていると、目の筋肉が凝り固まります。画面を通して風景を見ているようでも、焦点距離にしたら40cm。仕事でパソコンを使っても、食事中にスマホを見ても、同じく大体40cmですよね。こうした生活を日々積み重ねていくことは人類が経験したことのない領域で、我々医師も、この先何が起こるか、どんな症状が出てくるのか読めません。

編集部:
私たちはどうすればいいのでしょう?

富永先生:
1時間に1回は、遠くを見るようにしましょう。壁に掛かっている時計を見るだけでも違ってきます。そのとき、1分くらいは、視線を外し続けていただきたいですね。ただし、それだけで十分に改善されるかというと、答えは「NO」です。目の筋肉にある凝りを解きほぐす、専門の点眼薬が必要になります。現代社会の疲れで受診先がわからなかったら、眼科という選択肢を加えていただきたいですね。

次ページは:国の施策にも取り上げられている現代病

1/2ページ