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睡眠の短さ“世界一”の日本人 糖尿病やがんのリスクも…理想的な眠りとは?

深層ニュースFRIDAY

 良い睡眠を取るにはどんなことに気をつければいいのか。スタジオに2人の専門家をお招きして、睡眠のコツについて、具体的な事例も紹介しながら聞きました。

(ゲスト)
三島和夫(みしま・かずお)  秋田大学精神科教授、日本睡眠学会理事、著書「かつてないほど頭が冴える!睡眠と覚醒 最強の習慣」

櫻井武(さくらい・たけし)  筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授、1998年、睡眠と覚醒に関わる脳内物質「オレキシン」を発見、著書「睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか」

睡眠の短さ“世界一”の日本人 糖尿病やがんのリスクも…理想的な眠りとは?

三島和夫・秋田大学精神科教授

地方の車通勤 深夜の事故多く

右松 現代人の睡眠というのは、一言で言うとどのような状態ですか。

三島 夜型生活の人が多いですね。睡眠不足の方も多いでしょう。それに、働く人の3割ぐらいが夜勤についているので、非常に不規則な睡眠習慣がはびこっています。

櫻井 様々な仕事や生活の形がありますから、睡眠はそのひずみを受けてしまって、必要な睡眠時間が確保できないとか、生活時間がずれて社会的な時差ボケの状態になる人も多いですね。

久野 睡眠不足が続くとどういうことになるのでしょうか。

櫻井 集中力や注意力が失われるので、パフォーマンスが低下してしまいます。

三島 地方などで車で通勤している方が、長時間の仕事の後、深夜にうちに帰る時に事故を起こす例も多いです。いつ事故を起こしてもおかしくないような状態で生活しているということですね。

右松 体への影響ということでは、睡眠不足は糖尿病高血圧、脳卒中、認知症にも関係していると言われているそうですね。

三島 睡眠不足は、交感神経を絶えず緊張状態に置くことになって、血糖を取り込むインスリンというホルモンを分泌する力が低下するので、糖尿病にも関係してきます。免疫機能も低下しますから、月や年単位で睡眠不足が続くと、がんを始め、いろいろな病気の原因になってくると言えるでしょう。また、WHO(世界保健機関)は、夜勤と日勤を務めるような交代勤務をがんのリスクと認定しています。

右松 必要な睡眠時間というのはどれくらいなのでしょうか。

三島 個人差が大きくて、例えば5時間で十分な人もいれば、8時間程度眠っても睡眠不足になる人もいます。その人にとっての必要時間が足りないと、病気のリスクが高くなります。

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