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お風呂に週5回以上入る人は血管の状態が良好
お風呂は好き、でも、忙しい毎日のほとんどをシャワーだけで済ませている、という人も少なくないと思います。愛媛大学社会共創学部教授の小原克彦氏らは、日本の中高年者を対象とする研究を行い、週に5回以上湯船につかる習慣がある人は、4回以下の人に比べて心臓や血管の状態が良好であることが分かりました。
ご存じのように、循環器疾患(心筋梗塞、心不全、脳卒中など)の発症には生活習慣が大きく関わっています。これまでに行われた研究で、習慣的にサウナを利用する人には循環器疾患による死亡や突然死が少ないこと、心不全の患者には低温のサウナが好ましい影響を与えることなどが示されていました。
湯船につかる入浴は、サウナと同様の温熱効果に加えて、水圧による利益ももたらす可能性があります。水圧によって、血液が末梢(指先など)から中心に移動し、心臓の1回拍動あたりの拍出量が増え、心拍数は減少する、といった変化が生じるからです。
そこで小原氏らは、日本人の中高年の入浴習慣が循環器疾患のリスクに及ぼす長期的な影響を調べることにしました。
●週に5回以上入浴する人の方が心臓や血管の機能は良好
愛媛大学が進めている、地域の人々を対象とする「しまなみ健康推進プログラム」(J-SHIPP研究)に参加した人々の中から、脳卒中や心筋梗塞、心不全などの循環器疾患の症状を経験したことがなく、入浴習慣に関する質問に回答していた873人を選び、分析対象にしました。
入浴習慣に関する質問は、入浴の頻度(週に0~4回、5~6回、7回以上から選択、シャワーのみの利用は入浴としてカウントしない)、湯につかっている時間(分)、湯の温度(41度超〔熱め〕、40~41度〔中程度〕、40度未満〔ぬるめ〕から選択)を尋ねるものでした。
対象となった人々の入浴の頻度は、1週間に0回から24回の範囲で、平均すると5.8回でした。1回の入浴時間は0分から120分の範囲で、平均は12.4分でした。入浴の頻度が週に0~4回の集団と、5~6回の集団、7回以上の集団の、血圧やコレステロール値、血糖値などには統計学的に有意な差(有意差)は見られませんでした。1/2ページ