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うつ病?妻31歳を襲ったひどい疲労感の正体(ダイヤモンド・オンライン)

● 何もかも億劫でつらい もしやうつ病?

 仕事先から保育園に直行し、1歳の娘をピックアップして帰宅すると、時間は午後8時近かった。いつもなら、すぐに夕食の支度にとりかかりたいところだが、梨香さん(仮名・31歳)は倒れ込むようにしてソファに横たわり、目を閉じた。買い物袋の中身を冷蔵庫にしまう余裕もない。

 (疲れてる、体が動かない。なんか地球の引力が倍ぐらい強くなって、地面から引っ張られているような気がするのよね。食欲もないし、朝起きるのも苦痛。それなのに夜も寝付きが悪いし、眠りが浅くて途中で目が覚める。だから疲れが取れない…)

 半年前、育休から復帰した頃も、ものすごく疲れは感じていたが、食欲はあったし、よく眠れていた。不調の質が明らかに違う。集中力が続かず、小さなミスを繰り返す。近頃は周囲から「顔色がよくないね」と心配されるようになった。

 「そうですか、ご心配をおかけしてすみません。1歳児を抱えたワーキングマザーですから、やっぱり疲れるんですよね。でもここは頑張らないと」

 自分に言い聞かせるように返答し、体にいいことをやってみようと思うが、だめだ。新しいことを始めたり、気分転換を図れたりするのにも、少しは気力体力を要する。

 甘えてくる娘の姿に気力を振り絞り、食事の支度をし、食べさせて、お風呂に入れようとしているところに夫の玲一さん(仮名・31歳)が帰宅した。

 「大丈夫?ものすごく具合悪そうだね。病院に行った方がいいんじゃないか」

 幽鬼のような表情の梨香さんにぎょっとし、心配そうに声をかけてきた。

 「うん、そうしたいんだけど、何科に行けばいいのかしら。すごくだるくて、疲労感はあるけど、それ以外は、眠れないとか、足がむくみやすいとか、あるにはあるけど、特に病気って感じはしないのよ。どこも痛くないし」

 のろのろと答えると、

 「それってもしかしたら、うつ病なんじゃないか。君は真面目だから」

 言われてみれば、そんな気もする。

 うつ病の主な症状といえば、心の症状としては、「心が晴れない、落ち込む」「ものごとに興味・関心が湧かない」「やることはあるのにヤル気になれない」。一方、体の症状としては「寝付けない、眠れない」「食欲がない、食べるのが面倒」「人と会ったり話したりするのが億劫(おっくう)」などがあるが、全部当てはまったからだ。

 「ってことは、精神科、それとも心療内科に行けばいいのかな。でも、気が進まないなぁ。私、メンタルを病んでいるなんて思われたくない。そんな弱い人間じゃないと思っているの」

 反論すると、玲一さんは慰めるように言った。

 「うつってさ、強い人でもなる可能性はあるんじゃないの。心の風邪とも言うし。君は頑張っているんだから、ここらで弱みを見せてもいいと思うよ」

 しかし、あれこれ話し合った結果、梨香さんは「婦人科」を受診することにした。妊娠・出産や血の巡りと関連した症状のような気がしたからだ。

● 会社の健診では分からない 鉄欠乏性貧血が見つかった

 婦人科にかかったのは正解だった。

 問診、内診、血液検査等を行った後、医師は言った。

 「鉄欠乏性貧血ですね。子宮筋腫があるので、そのための月経過多が原因だと思いますよ。経血は多いんですよね」

 そう言えば10~20代の頃、生理痛で婦人科にかかった際、「子宮筋腫がある」と指摘されたことがあった。妊娠中は生理がないのですっかり忘れていたし、産後は生理痛に悩まされることもなくなったので、筋腫のことは考えもしなかったのだ。

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