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尿酸値の低過ぎから腎障害や結石 認知度低い「腎性低尿酸血症」

 

高いと痛風が心配になる尿酸値。だが、実は尿酸値が低過ぎる病気もある。「腎性低尿酸血症」と呼ばれ、該当者は国内に40万人近くいると推定される。厚生労働省の研究班と日本痛風・核酸代謝学会がこのほど、初の診療指針を作成した。

 病気そのものは無症状だが、合併症として尿路結石を繰り返したり、運動の後に体調不良を起こしたりする人がいる。指針作成を主導した防衛医大の四ノ宮成祥教授は「医療関係者の間でも知られていない。まずは認知度を高めることが重要だ」と公開の狙いを話す。

 腎臓は血液から尿酸をこし取り、尿として排出する一方で、尿酸を再吸収する。再吸収が不十分なため尿酸を過剰に排出してしまい、血液中の尿酸が少なくなるのが腎性低尿酸血症だ。健康診断などで尿酸値が2(血液1デシリットル当たりのミリグラム量)以下と低いことが発見のきっかけになることが多い。

 特徴的な合併症は、何度も発症する尿路結石のほか、激しい運動をした数時間~2日ほど後に起こる背中から腰の痛みや吐き気など。寝込むほど症状が重い人もいる。

 採血や採尿検査で確定診断が可能。根治療法はないが、指針は、尿路結石予防にはしっかり水を飲む、運動後の重い症状を防ぐには、運動前に消炎鎮痛薬や風邪薬の服用はできるだけ避けるなどの方法を紹介している。

 研究班は「長年無症状だった人は放置しても問題ないことが多いが『体質だから』とつらさに耐えて運動しているような人は尿酸値にも注意を向けてほしい」とする。指針は無料でダウンロードできる。学会ウェブサイトの「お知らせ」欄から該当ページに行ける。