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アルツハイマー病における神経細胞死の原因解明による新たな治療法の開発に期待・先端医療振興財団

先端医療振興財団客員上席研究員の星美奈子氏らの研究グループは、アルツハイマー病の脳で起こる神経細胞死の新たなターゲット分子を発見したと発表しました。

アルツハイマー病では、脳内にアミロイドβが蓄積し、神経細胞を死滅させると考えられています。しかし、そのメカニズムは、あまり解明されていませんでした。


今回の発表では、

アミロイドβが約 30 個集まって直径 10-15 nm のサイズの球状構造(アミロスフェロイドと命名)を取ることで、強い神経毒性を持つようになることを発見。

 

このアミロスフェロイド(以下 ASPD と略)を選択的に認識する抗体を作製。

この抗体を用いることで、アルツハイマー病患者脳内から ASPD を単離する方法を確立。

 

さらに、上記の成果をさらに発展させることで、神経細胞死における ASPD のターゲットが、神経の生存と機能に極めて重要な役割を果たしているシナプスタンパク質(NAKα3)であることを初めて発見。

ASPD の結合により、シナプスタンパク質の機能が低下し、
神経細胞が過剰に興奮することで、神経細胞は死に至る。

 

上記に加えて、研究グループは、
ASPD に結合するアミノ酸のペプチドを発見し、この ASPD 結合ペプチドが ASPD 表面を覆い隠すことで、ASPD と シナプスタンパク質との相互作用を阻止し神経細胞死を抑制することが出来ることも発見し、新たな治療薬開発への道を拓いたと発表しています。今後の治療薬開発が期待されます。


研究グループの発表は、非常に高度な内容ですので、興味をお持ちの方は、先端医療振興財団のプレスリリースをご確認下さい。


先端医療振興財団
http://www.ibri-kobe.org/

プレスリリース(PDF)
アルツハイマー病で起こる神経細胞死の新たなターゲット分子の発見
http://www.ibri-kobe.org/pressrelease/pdf/press20150728.pdf