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(九州大学プレスリリース)歯周病菌の出す組織破壊酵素が脳内ミクログリア活性化の引き金に 〜アルツハイマー病を悪化させるジンジバリス菌の病原因子を同定〜

九州大学大学院歯学研究院の武 洲准教授ならびに中西 博教授らの研究グループは、歯周病原因菌であるジンジバリス(Pg)菌の出す歯周組織破壊酵素ジンジパインが、ミクログリアの移動ならびに炎症反応を引き起こすことを突止めました。

歯周病がアルツハイマー病患者の認知機能を低下することが明らかになりましたが、その詳細なメカニズムは不明です。最近、研究グループはPg菌の主な病原因子であるリポ多糖によるミクログリアのToll様受容体活性化がリソソーム酵素カテプシンB依存的に慢性的な脳炎症を誘発し、中年マウスの学習・記憶低下を引き起こすことを報告しました(Brain Behav Immun 65, 350-361, 2017)。しかし、Pg菌のミクログリアに対する作用の全容は未解決のままです。そこで本研究ではPg菌のもう一つの主な病原因子であるジンジパインのミクログリアに対する作用を検討しました。

脳内にPg菌を微量注入するとミクログリアは注入部位周囲に移動し、この反応はジンジパイン阻害剤によりほぼ完全に抑制されました。培養系でもPg菌によりミクログリアの移動が引き起こされ、ジンジパイン阻害剤でほぼ完全に抑制されました。一方、リポ多糖はミクログリアの移動に関与しませんでした。さらに、ジンジパインはミクログリアのプロテアーゼ活性化型受容体(PAR2)を活性化し、下流の2つのシグナル伝達経路を介して移動に必要な細胞骨格変化を引き起こすことが明らかになりました(参考図)。

また、Pg菌によるミクログリアが起因する脳炎症にはリポ多糖によるToll様受容体の活性化と、ジンジパインによるPAR2の活性化が関与していました。今回の研究から、Pg菌から分泌されるジンジパインは感染早期におけるミクログリアの反応である移動ならびに炎症反応を引き起こすことが分かりました。このことからリポ多糖に加え、ジンジパインは歯周病によるアルツハイマー病型認知症の悪化に関与するPg菌の病原因子である可能性が示唆されました。

本研究成果は、2017年9月18日(月)午前10時(英国夏時間)に英国科学誌『Scientific Reports』にオンライン掲載されました。

九州大学プレスリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/169

同研究の詳細はこちら
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/31396/17_09_19.pdf