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既存結核薬に認知症予防効果を確認・大阪市立大学

結核やハンセン病の治療薬として使用されている抗生物質の「リファンピシン」に認知症の発症を防ぐ効果があることを医学研究科 脳神経科学の富山准教授らのグループは、金沢大学、富山大学、米国ノースウェスタン大学と共同で論文を発表しました。

 

研究グループは、マウスを円形プールで泳がせて、足場に到着するまでの時間を計測する実験を行いました。
「リファンピシン」が投与されたアルツハイマー病のマウスは、健康なマウスと同様の時間で足場にたどり着くようになれたのに対し、投与されなかったアルツハイマー病のマウスは、健康なマウスに比べて、倍近い時間がかかりました。

 

アルツハイマー病では、アミロイドベータ(Aβ)が凝縮して、脳に沈着することでアルツハイマー病を発症しますが、リファンピシンは、アミロイドベータ(Aβ)の結合を抑制することわかり、リファンピシンが、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、いずれにも効く可能性があることを示しています。

リファンピシンの内服による効果を調べるためにアルツハイマー病のマウスに投与した所、1ヶ月の経口投与で、記憶を回復させる実験結果を得られました。

 

同研究グループによると、ハンセン病患者に認知症を発症する頻度が低いことから、「リファンピシン」が認知症の予防に有効であることを示唆しています。
しかし、リファンピシンは、すでに発症した患者に対しては、効果がないことも報告されており、あくまでも発症リスクの高い未発症者への発症阻止薬として使われることになるとの事です。
リファンピシンは1960年代からある薬の為、副作用に関する情報も蓄積されており、今ではジェネリック医薬品として安価に供給されているため、今後は、安価で内服可能なリファンピシンによる予防が可能になるかもしれません。


大阪市立大学HP
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2015/160329-1