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日焼けは「依存症」になることも!?リスクと対策最新事情(ダイヤモンド・オンライン)

夏本番。過度の日焼けに注意が必要だ。日本人は紫外線が関与しているとされる皮膚がん、メラノーマ(悪性黒色腫)の発症率が低いため、紫外線の健康リスクに無頓着な面があったが、このところ毎年のように猛暑が来ることもあって紫外線対策が浸透してきた。紫外線を浴びすぎるとシミ、しわなどの原因となるだけでなく、長年のうちに白内障や加齢性黄斑変性症といった眼疾患を引き起こす。子どものうちから紫外線対策を身につけることが肝心だ。(医学ライター 井手ゆきえ)

● UVインデックスを活用して 日々の日焼け対策の参考に

 太陽光に含まれる紫外線は性質によって「UVA」「UVB」「UVC」の3種類に分類される。このうち、UVCは地球を取り巻くオゾン層などに吸収され、地表には届かない。地表まで届き、日焼けを起こすのはUVAとUVBで、健康リスクと関係するのは主にUVBだ。日本では毎年6~8月に最も紫外線が強く、1日のうちでは太陽が頭の真上にくる正午頃(南中時)が最も強い。

 国立環境研究所をはじめ、国内の16研究機関が参加している「有害紫外線ネットワーク」では、紫外線の健康リスクを示す「UVインデックス」を使って1時間ごとの紫外線情報を提供している。この記事を書いた7月20日11:00時点を見ると、もっとも紫外線が強かったのは意外にも神奈川県・横浜市の観測地点で、UVインデックスはMAXの「11:極端に強い」。次いで、沖縄県・八重山郡、宮崎県・宮崎市と北海道・札幌市がUVインデックス「9:非常に強い」だった。UVインデックス8以上になると、日中の外出はできるだけ控え、必ず長袖シャツ、日焼け止め、帽子を利用するよう推奨されている。モバイルサイトもあるので、国内旅行の際は付近のUVインデックスを参考にするといいだろう。

● 紫外線の健康リスク~皮膚がん 乳幼児や子どもは注意が必要

 日焼けは、皮膚の炎症反応であるサンバーンとその後に続くサンタンの総称。紫外線を浴びてから数時間後に生じるサンバーンは、赤みとヒリヒリした炎症を伴い8~24時間でピークとなる。赤みは数日後に消えるが、次いで紫外線に対する「防御反応」としてメラニン色素が大量に産生される。これがサンタンだ。

 サンタンは数週間から数ヵ月間は持続して、日焼けの害から細胞を守る働きがある。とはいえ、サンタンの紫外線防御効果は小さく、UVB防止効果を現すSPF値でいえば、せいぜい4程度。「真っ黒に焼けたから、もう日焼け止めはいらない」とはいかない。

 紫外線の健康リスクの最たるものは、やはり皮膚がんだろう。紫外線を浴びると皮膚表面のDNAに傷がつく。細胞にはDNAの傷を修復するシステムが備わっているが、障害がたび重なると修復能力が追いつかず、“修復ミス”が起こる。その結果、遺伝子情報の間違いが積み重なり、皮膚がんを発症してしまうのだ。

 特に、色白ですぐに赤くなりやすい肌タイプは紫外線に弱く、同じ紫外線量でも色黒の肌タイプより遺伝子への影響が3~5倍強い。日本人でも注意が必要だ。

 また、細胞は新生児でおよそ3兆個だが、成人する頃には約37兆個までに増える。つまり、この間の細胞分裂の回数は桁違いに多く、子どもの体表で生じるDNAの傷と修復作業にともなうリスクは大人よりも高い。

 事実、皮膚がん大国であるオーストラリアに移住した白人を対象とした調査によると、0~10歳の間に移住した人は、10歳以降に移住した人に比べ、皮膚がん発症率が3~5倍高かった。

 10万人を超える米国女性を対象とした調査からは、15~20歳の時に水ぶくれができるほど強い日焼けを経験している女性は、皮膚がんの発症率が高いという結果が報告されている。日本人の皮膚がんリスクは低いが、やはり幼いうちから適度な日焼け対策をしておくべきだろう。

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